ストューヴスタ医療センターと、訪問看護の仕事について!

スウェーデンでの「訪問看護ステーション」に相当する医療の仕組みは、各地域にある「在宅医療センター」の一部門として、在宅医療センターに通院することが困難な患者のために、自宅を訪問する「在宅医療ケア」として運営され、地区看護師が担当しています。
現在のスウェーデンでは医療の分野でも民営化が進み、病院や診療所はもとより在宅医療センターにも、地域自治体であるコミューンが運営する公共のものと、それぞれのコミューンが認定する会社や組合などの民間の事業所が運営するものがあります。
今回は、ストックホルムの郊外にある公共の在宅医療センターの所長であるグン・ロフリングさんに、ご自分の在宅医療センターと、その中での訪問看護の仕事について記事を寄稿していただきました。
制度や仕組みが違うといろいろ不慣れな言葉が出てきますが、頂いた原稿を基に、日本語に訳してお伝えします。
ストューヴスタ(Stuvsta)医療センター
ストューヴスタ医療センターはストックホルム市の郊外フッディンゲ地区にあり、登録患者数は約20,000人で、そのうちストューヴスタ地域の住民は約16,000人です。
在宅医療ケア(訪問看護)
在宅医療ケアに登録されるためには、隔週あるいは最低月に2度の在宅支援を必要とし、医療センターへの通院が困難な患者ということが条件です。
在宅医療ケアに登録された全ての患者は、主な責任を持つ地区看護師を担当として得ることが出来、実際の在宅の患者の訪問は、他の看護師あるいは准看護師が担当します。
ネット上のウエブケアには、ジャーナルにそれぞれの患者の責任者が記され、患者が在宅医療ケアを受けていることが反映されます。
患者がリストに登録されると、そのリストは受注者(医療ケアを申し込んだ人)に届けられて毎月の手数料が医療センターに支払われ、患者が退所するとシステムから消去されます。
在宅医療ケア(訪問看護ケア)は、車両3台と自転車を保有しています。
私たちの訪問看護ケアでは4名が午前中の訪問を行い、そのうち2名は准看護師です。
在宅医療ケアには合計で128名の患者が登録されており、全ての患者が毎日の訪問看護を必要としてはいませんが、毎日職員1名につき約12〜15名の患者を訪問しています。
在宅医療ケアに登録されている全ての患者には、それぞれ1名の医師がリストに記載され、週に3回在宅訪問をしています。
医師の自宅訪問を希望する患者は、訪問看護のリストに予約します。
その他私たちには、短期間の在宅医療ケア担当する医師とST医師(専門教育を受けている医師)がいます。
在宅医療ケアに登録されていて薬剤を必要とする患者には、薬局から支給されている薬剤が梱包されている薬剤箱を隔週で配布しています。
私たちは、職員が通常週に一度ずつ訪問する4つの区域に分割しており、そのため患者全員を熟知することができます。
在宅医療ケア事務室
在宅医療ケア事務室には、訪問看護に出ている職員全員が訪問時のレポートを記入する事務用の場所があります。
また在宅医療ケア事務室には、どの地域か分かりやすいように色付けされ、また利用者の名前と番号がついた鍵カードが保管されているケースや、配布する薬剤が保管されている薬品棚が設置されています。
事務室には、それぞれの曜日が示されている5個のケースがあり、訪問時に必要なものはそこに備えてあります。
また、患者に配布される栄養ドリンクも保管されています。
在宅医療ケアを担当する看護師/地区看護師/准看護師の業務
在宅医療センターの業務内容
1 薬剤
2 インシュリン
3 注射
4 検査
5 尿道カテーテル
6 創傷治療
7 血圧測定
8 血中酸素の測定
9 サポートソックスの測定
10 監督および緊急訪問
11 観察
12 PRケア(民間の事業所)や他のリハビリへの紹介
連携
1 私たちは、地域のリハビリと在宅サービス機関と、月に1回および必要に応じて連携しています。
2 私たちは、支援判定員、看護師、医師、またリハビリの一部または全部(理学療法士、作業療法士、栄養士)と共同の、在宅での在宅連携計画を作成します。
3 週に1回、決められた時間と日に、在宅医療ケアに従事する看護師、補助看護師、地区看護師、医師の間でラウンドを行います。
4 リハビリスタッフは、月1回、在宅医療ラウンドに同行します。
5 在宅介護サービスとは、継続的に月に1回、在宅ケアにおいて在宅医療のラウンドに同行するなどの密接なコンタクトがあります。
6 私たち勤務時間外である平日17:00〜08:00の間、および週末の間終日は、民間のPRケアという事業所が業務提携によりケアを担当しています。
Webケアは、病院と連携しているコンピュータシステムで、患者の病院での入院・退院状況が把握出来るようになっています。
患者の費用
- 85歳以上は無料
- 在宅医療ケアの登録は無料
- 85歳未満の患者は、無料のカードを持っていない場合、最初の2週間分を支払います。
医療センターへの補償(手数料)⇨ 地域自治体(コミューン)からの支給金
- 医師、看護師/地区看護師、准看護師場合、訪問毎にそれぞれ異なる補償金の支給を受けます。
- 在宅ケアに登録しているすべての患者に対して毎月補償金を受けます。
- 医師が訪問する際には、追加の補償金を受けます。
- 在宅患者の自宅で在宅介護ケアの職員とのミーティングがある場合には、追加の補償金を受けます。
記事寄稿:在宅医療ケア/地区看護師 グン・ロフリング所長
グン・ロフリング所長さん、ありがとうございました。